「あ～らくせんたく」アプリの開発について、株式会社AOBコンサルティング代表取締役の松澤 亜希様、広報ご担当の齊藤 希様にお話をうかがいました。

Q1. まずは御社について簡単にご紹介いただけますか？

松澤様　約20年に渡るシステム開発やITコンサルティングの経験をもとに、2019年に立ち上げたITコンサルティング会社です。経営視点から、問題を可能性に変えるコンサルティングを得意としています。

Q2. コンサルティング事業が主体とのことですが、自社でアプリを開発することになった背景と、開発体制について教えてください。

松澤様　様々なお客様のシステム開発などをITコンサルタントとして支援する経験を積み重ねる中で、最新の技術を活用して世の中の役に立つようなシステムを自分でも開発・提供してみたいという思いを抱くようになりました。

そんなとき、クリーニング店に長く勤める知人から「この洗濯物は家で洗えるか、洗えないか」とお客様に聞かれることが多く、忙しいときには大変だという話を聞きました。洗濯表示から洗濯の可否を判別できるアプリがあれば便利だと思い探したのですが、自分で表示を選ぶものしか見つかりませんでした。

洗濯表示は種類も限られており、形状も複雑ではありません。AIの画像認識技術で判別できれば、より便利なアプリができると思い、自分たちで作成することを思い立ちました。企画・仕様策定は弊社、アプリおよびAIの開発は外注パートナーという分担で開発を始めました。

Q3. Monacaを利用するにあたって、よかった点、逆に苦労した点はありますか？

松澤様　HTML、CSS、JavaScriptで、iOS向けとAndoroid向けの両方を一気に開発できるというのはやはり、ありがたかったです。

また、パートナー企業と協力しながらの開発でしたが、クラウドIDEやMonacaデバッガーを使えば、開発の状況も簡単に確認・共有でき、すぐに手元でアプリの動作を試してみることもできたので、スムーズに進めることができました。

ただ最初のうちは、エンジニアがMonacaでのビルドやOnsenUI（CSSフレームワーク）に慣れていなかったため、少し手間取ったこともありました。また、ネイティブ機能を利用したいときに、希望するようなCordovaプラグインがなく、採用できなかった仕様が一部あります。

Q4. アプリやAIの開発で、工夫された点や大変だった点があれば教えていただけますか？

松澤様　「あ～らくせんたく」アプリは、生活便利アプリですので、できるだけ軽く、簡単に使えるということを重視しました。そのため、AIのプログラムはアプリに内蔵せず、サーバに置いて、アプリの容量を軽減しています。

TensorFlowを利用していますが、AIのモデルは独自に作成しました。撮影した洗濯表示を大量に学習させる必要があり、撮影画像の収集には苦労しました。クラウドソーシングで撮影データの提供を依頼したり、珍しい洗濯表示は自前でラベルを作成して様々な条件下で撮影したりして、学習データを集めました。

AIは、Pythonでモデルの開発から行いました。AIの機能は、APIを利用してモバイルアプリと連携させています。そのため、モバイルアプリへのAI導入について、Monacaでの実装も問題ありませんでした。

Q5. アプリのリリース後はどんな反響がありましたか？

齊藤様　全国ネットのテレビ放送で何度も取り上げられたり、iPhone芸人のかじがや卓哉さんにYouTubeで紹介されたりと注目いただき、これまでに約10万ダウンロードを頂きました（2022年4月現在）。 実際に使われている方からも、「AIの精度が高い」「洗濯表示を覚えなくてすむので便利」などの評価を多数いただいています。

Q6. 今後の展望についてお聞かせください。

松澤様　たくさんの方にご利用いただくことで、リリース時よりも、ユーザー像や使われ方が明確になってきました。それを踏まえて、より便利な機能を追加すべく開発を進めています。

また、ビジネスとしては、クリーニング店などへの送客支援なども考えています。 洗濯にまつわる機能やサービスを充実させて、ゆくゆくは洗濯のプラットフォームのようにしていけたらと思っています。「目指せ100万ダウンロード」ですね（笑）